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ANIMO Blog

よしなしごとを、そこはかとなく書きつくる。

2025'03.14.Fri
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2011'03.22.Tue

猫を被る、と言いますが、今日私は確かに猫を被りました。高い所に行きたかったようです。爪が刺さって痛いうえに、重くて首が痛くなりました。…長くは被ってらんねーよ、コレは。

小話第三段はDグレ。ティーンズでほのぼのとお茶会開始です。


------------------------



「アレンも紅茶でいい?」
「あ、自分でやるから!」

ティーポットを取り上げようとするアレンを留めて首を振る。

「いいから、座っていて」
「そうさ、アレン。大人しく待ってろよ。姫の煎れた紅茶、美味いぜ?」

既に座って紅茶を傾けるラビを、アレンは軽く睨みつけた。

「そんなこと知ってます」
「アレンくんは、一緒に旅をしていたんだものね」

リナリーがにこにこ笑いながら言う。お湯を入れに奥へ引っ込む背中を見送りながら、アレンは苦笑した。

「とは言っても、そんなに長い間じゃないですけどね」
「―――な、旅暮らしってことは、姫と一つ屋根の下ってことも結構あったんだろ?」

アレンの肩に腕をまわし、ラビがひそひそと尋ねる。声をひそめて話す彼らを、リナリーと、ティーポットとカップを手に戻ってきた部屋の主が首を傾げて見ていた。
2人の様子を気にしつつ、アレンはラビに呟き返した。溜息とともに。

「ありましたけど…分かってます? もれなく師匠も一緒に一つ屋根の下なんですよ?」
「………。あー、うん。だよなー」

頬をひきつらせたラビが、ぱっとアレンを放す。襟を正して席に着いたアレンの前に、紅茶の注がれたカップが置かれる。ありがとう、と律儀に頭を下げて微笑む弟弟子に、姉弟子も笑みを返して頷いた。
まるで本当の姉弟みたい。リナリーは2人の様子見てそう思ったが、あえて口にはしなかった。
やっと全員が席について、ささやかな茶会がいざ開かれようとした時である。不躾なノックの音が転がり込んだのは。
誰だろう、と立ち上がろうとした部屋の主を制したのは、やはりアレンだった。僕が一番入口に近いから、と大して変わらない距離を理由に扉へ向かっていく。リナリーがくすくす笑った。

「リナリー?」
「ごめんなさい。だってアレンくん、貴女といる時は本当に印象が違うと思って」
「ああ、確かに。幼く見えるっつーか…いや、年相応に見えるんかな」

マカロンを口に放り込みながらラビが同意する。そうならいいけど、と少し照れたように笑う彼女だったが、入口の方から漂ってきた不穏な空気に眉を寄せて顔を上げた。
アレンの白い頭の向こうに、黒いポニーテールが見える。もしかしなくとも。

「何の用だって聞いてるんですよ」
「てめーじゃねぇっつってんだろ、モヤシ。どけ」
「女性の部屋に許可なく踏み込むつもりですか?」
「だったらアイツを呼べ」
「だからまず用件を―――」

「神田君、私に何か?」

席を立って扉に歩み寄ってきた彼女に、アレンが少し不服そうな顔をした。
神田は、そんなアレンを一瞥して向き直る。

「任務?」
「違う。…伝言だ」

なんで俺がわざわざ、と神田が舌打った。

「今日中に、いつでもいいから指令室まで来い。…だとよ」
「室長が?」
「…ああ」

見た限り、神田はきっちり団服を着こんでいる。ここ数日は姿を見なかったし、恐らく任務帰りにコムイから言伝を頼まれてここに寄ってくれたのだろう。
有難う、と言おうとしたところで、すぐ後ろからラビが顔をのぞかせた。

「文句言いつつちゃんと伝えに来るなんて、姫には優しいじゃんか」
「…てめーもいたのか」
「ユウもどうさ? お茶会。姫も、いいだろ?」

もちろんと、頷いた主催者に対し、アレンの顔が若干嫌そうに嫌そうに歪んだ。彼女の手前何も言わないようだが、視線は大分ラビと神田を責めている。

「でも、室長が呼んでいるなら、悪いけれど私は…」
「そんな、大丈夫よ。兄さんが今日中、なんて曖昧な言い方をするときは、大した用事じゃないんだから。せっかくのお茶会だもの、皆でゆっくりしましょう? ほら、神田も」

なんで俺が、と踵を返そうとした神田の首にがっちり腕をまわして、ラビが部屋に引きずりこむ。無理やり椅子に座らされたところで、手際良く目の前にカップが置かれて紅茶が注がれた。ちらりと見ると、何がそんなに楽しいのかにこにこと笑う元凶。よければ、と日本人らしく遠慮がちに勧められたところで、なんだか抵抗するのも馬鹿馬鹿しくなってしまった。

「お砂糖は?」
「…それくらい自分でやる」

改めて全員が席に着き、ささやかなお茶会が始まる。
日頃の些細な出来事など、他愛のないことを話しながら笑いあう。任務に追われて本部を留守にしがちなエクソシスト同士がこうして集まって茶会を開けるなんてことは滅多になく、だからこそこの時間がとても素敵なものに思えた。紅茶を飲みながら、思わずしみじみとしてしまう。
気づけば言いあいになっているアレンと神田、その間に割って入ったはずなのに悪化させているラビ、3人を見ながら楽しそうに笑っているリナリー。

戦争の渦中にありながら、少なくともこの時、この部屋の中は確かに平和だ。あたたかさに頬を緩めながら、彼女は2杯めの紅茶をカップに注いだ。



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さりげに続きます。連載未登場のアレンと夢主の関係性がまた安定してませんが、大体こんな感じです。姉弟子と弟弟子というよりは、姉と弟のようなイメージ。
口調は、敬語にするかタメ口にするか悩み中。とりあえずタメにしてみましたが…い、意見求む!
 

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自己紹介:
関東圏在住の看護学生。
好きなものはゲーム(特にRPG,SRPG)、漫画(ジャンプ系)、映画(邦画より洋画)。オヤジ好きで声フェチ。
最近は悟りを開き、趣味をオープンにしてます。
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